フォルト ドメインを使用すると、vSAN クラスタが複数のラックまたはブレード サーバ シャーシに分散している場合に、ラックまたはシャーシの障害から保護できます。

フォルト ドメインを作成し、各フォルト ドメインに 1 台以上のホストを追加できます。フォルト ドメインは、データセンターでの物理的な場所に基づいてグループ化された 1 台以上の vSAN ホストで構成されます。フォルト ドメインが構成されている場合、vSAN では、物理ラック全体の障害とともに、単独のホスト、キャパシティ デバイス、ネットワーク リンク、またはフフォルト ドメイン専用のネットワーク スイッチの障害を許容できます。

クラスタの [許容される障害の数] ポリシーは、プロビジョニングされる仮想マシンで許容できる仮想マシン障害の数によって異なります。仮想マシンの [許容される障害の数] が 1 に設定されている場合 (FTT=1)vSAN では、ラック全体の障害を含め、フォルト ドメインでの任意の種類および任意のコンポーネントの単一障害を許容することができます。

ラックでフォルト ドメインを構成し、新規仮想マシンをプロビジョニングすると、vSAN ではレプリカや監視などの保護オブジェクトが確実に異なるフォルト ドメインに配置されるようにします。たとえば、仮想マシン ストレージ ポリシーで [許容される障害の数] が N (FTT=n) に設定されている場合、vSAN ではクラスタ内に最小で 2*n+1 個のフォルト ドメインが必要です。このポリシーを使用して、フォルト ドメインが構成されているクラスタで仮想マシンがプロビジョニングされると、関連付けられた仮想マシン オブジェクトのコピーが別々のラックに保存されます。

FTT = 1 をサポートするには、少なくとも 3 つのフォルト ドメインが必要です。最適な結果を得るには、クラスタ内で 4 つ以上のフォルト ドメインを構成します。3 つのフォルト ドメインが構成されているクラスタには 3 台のホスト クラスタの場合と同じ制約があります。たとえば、障害後にデータを再保護したり、[全データの移行] モードを使用したりすることはできません。フォルト ドメインの設計およびサイジングの詳細については、『vSAN のプランニングとデプロイ』の「vSAN フォルト ドメインの設計とサイジング」を参照してください。

16 台のホストで構成される vSAN クラスタを使用する場合のシナリオについて考えます。ホストは 4 台のラックに分けて収容されています。つまり、ラックあたり 4 台のホストとなります。ラック全体の障害を許容するには、ラックごとにフォルト ドメインを作成します。[許容される障害の数] を 1 に設定すると、このようなキャパシティをもつクラスタを構成できます。[許容される障害の数] を 2 に設定する場合は、クラスタ内に 5 つのフォルト ドメインを構成します。

1 つのラックで障害が発生すると、ラックの CPU およびメモリを含むすべてのリソースをクラスタで使用できなくなります。発生する可能性のあるラック障害の影響を低減するには、サイズの小さなフォルト ドメインを構成します。フォルト ドメインの数を増やすと、ラック障害が発生した後にクラスタ内で使用できるリソースの総量が増加します。

フォルト ドメインを使用して作業する場合は、次のベスト プラクティスに従います。
  • vSAN クラスタで、少なくとも 3 つのフォルト ドメインを構成します。最適な結果を得るには、4 つ以上のフォルト ドメインを構成します。
  • フォルト ドメインに含まれないホストは、それ自体のシングルホスト フォルト ドメインに存在しているとみなされます。
  • すべての vSAN ホストをフォルト ドメインに割り当てる必要はありません。フォルト ドメインを使用して vSAN 環境を保護する場合は、サイズが同じフォルト ドメインを作成することを考慮します。
  • 別のクラスタに移動すると、vSAN ホストは、フォルト ドメインの割り当てを保持します。
  • フォルト ドメインを設計する場合は、一定数のホストを各フォルト ドメインに配置します。

    フォルト ドメインの設計のガイドラインについては、『vSAN のプランニングとデプロイ』の「vSAN フォルト ドメインの設計とサイジング」を参照してください。

  • フォルト ドメインには、任意の数のホストを追加することができます。各フォルト ドメインには、少なくとも 1 つのホストを含める必要があります。