クラスタまたはスタンドアローン ホストは、ベースラインまたはイメージのいずれかを使用して管理できます。単一のクラスタまたはホストで両方を同時に使用することはできません。クラスタの作成中にクラスタのイメージを設定しなかった場合や、ホストをデータセンターまたはフォルダに追加するときにホストのイメージを設定しなかった場合でも、このクラスタまたはホストをベースライン方式からイメージ方式にいつでも切り替えることができます。

クラスタを vSphere Lifecycle Manager イメージに切り替えるには、新しいイメージをセットアップするか、既存のイメージをインポートする必要があります。vSphere 8.0 Update 1 でスタンドアローン ホストを vSphere Lifecycle Manager イメージに切り替えるには、新しいイメージを設定するか、既存のイメージをインポートします。イメージのセットアップまたはインポートを続行する前に、vCenter Server によって、クラスタまたはホストがイメージを使用する資格があるかどうかが確認および報告されます。クラスタまたはホストの適性の詳細については、vSphere Lifecycle Manager イメージを使用するためのクラスタまたはスタンドアローン ホストの要件を参照してください。

システム要件

イメージを使用する方法に切り替えるには、クラスタまたはホストが複数の要件を満たしている必要があります。

  • クラスタ内のすべての ESXi ホストまたはスタンドアローン ホストがバージョン 7.0 以降である必要があります。

  • クラスタ内のすべての ESXi ホストまたはスタンドアローン ホストはステートフルである必要があります。

    ステートフル インストールの場合、ホストはディスクから起動します。

  • クラスタ内のホストまたはスタンドアローン ホストに、不明なコンポーネントを含めることはできません。

ホストのバージョンが ESXi 7.0 より前の場合は、まず、アップグレード ベースラインを使用してホストをアップグレードする必要があります。そうすることで、イメージを使用する方式に正常に切り替えられるようになります。ホストへのパッチ適用操作およびアップグレード操作にベースラインを使用する方法については、vSphere Lifecycle Manager ベースラインおよびベースライン グループの使用を参照してください。

ステートレス ホストをステートフル ホストに変換する方法の詳細については、ESXi のインストールとセットアップのドキュメントに記載されている Auto Deploy の詳細を参照してください。

移行ワークフローの詳細

vSphere Lifecycle Manager イメージを使用する方法に切り替えると、いくつかの動作上の特性が生じます。

  • クラスタにイメージを使用するように切り替えると、ベースラインを使用するように戻すことはできません。ベースラインが使用されるクラスタにホストを移動することはできますが、管理目的で単一のイメージがすでに使用されているクラスタを変更することはできません。
  • スタンドアローン ホストをイメージ方式に切り替えた場合、スタンドアローン ホストを vCenter Server インベントリに再度追加する場合を除き、ホストをベースライン方式に戻すことはできません。

  • クラスタまたはホストのイメージを設定して保存した場合、ホストを修正しない限り、イメージはクラスタ内のホストまたはスタンドアローン ホストに適用されません。管理方法を変更するアクションのみでは、クラスタ内のホストまたはスタンドアローン ホストは変更されません。

  • クラスタまたはスタンドアローン ホストのイメージを設定し、イメージに基づいてクラスタ内のホストまたはスタンドアローン ホストを修正すると、スタンドアローンの VIB がホストから削除されます。

  • クラスタのイメージを設定し、イメージに基づいてクラスタ内のホストまたはスタンドアローン ホストを修正すると、統合されていないソリューション エージェントがホストから削除されます。

  • 空のクラスタで vSphere Lifecycle Manager と連携できないソリューション(Dell EMC VxRail など)を有効にして、そのクラスタのイメージを使用する方法に切り替えると、移行操作は成功します。ただし、クラスタで vSphere Lifecycle Manager と非統合ソリューションの両方が有効になるため、クラスタ構成はサポート対象外になります。

  • vSphere Lifecycle Manager イメージを使用して管理するクラスタからホストを削除した場合、ホストはそのイメージを保持しません。ホストはベースラインによって管理されます。単一のイメージを使用して管理するスタンドアローン ホストを、イメージを使用して管理するクラスタに移動するという逆のアクションはサポートされていません。

vSphere Lifecycle Manager イメージを使用するためのクラスタまたはスタンドアローン ホストの要件

ベースラインからイメージに切り替えるには、クラスタまたはホストを管理する vSphere Lifecycle Manager イメージを設定またはインポートする必要があります。移行の一環として、イメージを設定する前に、vCenter Server は、クラスタまたはホストが vSphere Lifecycle Manager イメージを使用できるかどうかを確認する自動タスクをトリガします。

[単一イメージでの管理対象クラスタの資格の確認] タスクと [単一イメージでの管理対象ホストの資格の確認] タスクは、クラスタまたはホストがベースラインを基準にして修正されないようにし、vSphere Lifecycle Manager イメージを使用するためのすべての要件が満たされているかどうかを確認します。

また、これらのタスクは、スタンドアローンの VIB を確認し、クラスタまたはホストで統合されていないソリューションが有効でないことを確認します。統合されていないソリューションがクラスタまたはホストで有効な場合は、vSphere Lifecycle Manager イメージの使用に切り替えることができない可能性があります。

注:

サードパーティ製品またはソリューションを使用する場合は、それぞれのソリューションが vSphere Lifecycle Manager と連携するかどうかをサードパーティ ソフトウェア ベンダーに確認する必要があります。

これらのタスクは、エラー、警告、情報の 3 種類の通知を返します。

エラー

次のいずれかの条件に該当する場合は、[単一イメージでの管理対象クラスタの資格の確認] タスクと [単一イメージでの管理対象ホストの資格の確認] タスクによりエラーが報告されます。

  • ステートフルでないホストがクラスタに 1 台以上含まれている、またはスタンドアローン ホストがステートフルでない。

  • 互換性のある ESXi バージョンではないホストがクラスタに 1 台以上含まれている、またはスタンドアローン ホストが 7.0 以降のバージョンではない。

  • 統合されていないソリューションの VIB がクラスタまたはスタンドアローン ホストに含まれている。その場合は、統合されていないソリューションを無効にしてから、移行を再試行する必要があります。

警告

クラスタにスタンドアローンの VIB または不明な VIB のあるホストが 1 台以上含まれている場合や、スタンドアローン ホストにスタンドアローンの VIB または不明な VIB が含まれている場合、[単一イメージでの管理対象クラスタの資格の確認] タスクと [単一イメージでの管理対象ホストの資格の確認] タスクにより警告が発行されます。警告は vSphere Lifecycle Manager イメージの使用への移行をブロックしませんが、特別な注意またはユーザー操作が必要です。

たとえば、クラスタ内のホストにスタンドアローンの VIB(vSphere Lifecycle Manager デポでコンポーネントが利用可能なドライバなど)が含まれる場合、警告通知が表示されます。VIB を保持する場合は、それぞれのコンポーネントを vSphere Lifecycle Manager イメージに追加する必要があります。そうしないと、修正時にスタンドアローンの VIB が削除されます。

クラスタ内のホストまたはスタンドアローン ホストに不明な VIB が含まれている場合も警告が表示されます。不明な VIB は、vSphere Lifecycle Manager デポに利用可能なコンポーネントがない、スタンドアローンの VIB です。vSphere Lifecycle Manager が不明な VIB を検出した場合は、VIB を含むコンポーネントを vSphere Lifecycle Manager デポにインポートして、移行を再開する必要があります。そうしないと、修正時に不明な VIB が削除されます。

情報

[単一イメージでの管理対象クラスタの資格の確認] タスクと [単一イメージでの管理対象ホストの資格の確認] タスクでは、クラスタにスタンドアローンの VIB を持つホストが 1 台以上含まれている場合や、スタンドアローン ホストにスタンドアローンの VIB が含まれている場合に情報通知を提供しますが、追加のアクションを実行せずにクラスタまたはホストの vSphere Lifecycle Manager イメージの設定を続けることができます。

たとえば vSphere HA や vSAN などの統合ソリューションでクラスタが有効な場合、情報通知が表示されます。

オプション 1:新しいイメージの設定

ベースラインを使用する既存のクラスタまたはホストに vSphere Lifecycle Manager イメージを使用するには、まずイメージを手動で設定します。

クラスタにイメージを使用するように切り替えると、ベースラインを使用するように戻すことはできません。ベースラインが使用される別のクラスタにホストを移動することはできますが、単一のイメージがすでに使用されているクラスタを変更することはできません。

スタンドアローン ホストにイメージを使用するように切り替えると、ベースラインを使用するように戻すことはできません。

vSphere Lifecycle Manager イメージの概念については、vSphere Lifecycle Manager イメージ を参照してください。

vSphere Lifecycle Manager イメージを使用してホストおよびクラスタを管理する方法については、vSphere Lifecycle Manager イメージの使用方法を参照してください。

前提条件

  • クラスタ内のすべての ESXi ホストまたはスタンドアローン ホストがバージョン 7.0 以降であることを確認します。
  • クラスタ内のすべての ESXi ホストまたはスタンドアローン ホストがステートフルであることを確認します。ステートフル インストールの場合、ホストはディスクから起動します。
  • クラスタ内のすべての ESXi ホストが同一ハードウェア ベンダーのものであることを確認します。
  • 統合されていないソリューションがクラスタまたはホストに対して有効になっていないことを確認します。
  • 適切な権限があることを確認します。イメージを使用するための vSphere Lifecycle Manager の権限を参照してください。

手順

  1. vSphere Client で、ベースラインおよびベースライン グループを使用して管理するクラスタまたはホストに移動します。
  2. [更新] タブで、[イメージ] をクリックします。
  3. [イメージのセットアップ] ボタンをクリックします。
    vSphere Lifecycle Manager は、クラスタまたはホストがイメージを使用する資格があるかどうかを確認します。問題が報告されない場合は、 [イメージへの変換] ペインが表示されます。
  4. [単一イメージでの管理対象クラスタの資格の確認] タスクまたは [単一イメージでの管理対象ホストの資格の確認] タスクから、対処が必要なことを示すエラーまたは警告が報告された場合は、問題を解決して、手順を再開します。
  5. [ESXi バージョン] ドロップダウン メニューで ESXi イメージを選択します。
  6. (オプション) イメージにベンダー アドオンを追加します。
    1. [選択] をクリックします。
      [ベンダー アドオンの選択] が表示されます。
    2. リストからアドオンを選択します。
      右側に情報パネルが表示されます。情報パネルには、アドオンによって ESXi イメージに追加されるコンポーネントとイメージから削除されるコンポーネントに関する情報が表示されます。
    3. 選択したアドオンの [バージョン] ドロップダウン メニューから、アドオンのバージョンを選択します。
    4. [選択] をクリックします。
  7. (オプション) イメージにファームウェアとドライバのアドオンを追加します。
    1. [選択] をクリックします。
      [ファームウェアとドライバのアドオンの選択] が表示されます。
    2. 該当するドロップダウン メニューからハードウェア サポート マネージャを選択します。
      ファームウェアとドライバのアドオンのリストが表示されます。
    3. リストからアドオンを選択します。
      右側に情報パネルが表示されます。情報パネルには、サポートされている ESXi のバージョン、およびアドオンにドライバが含まれているかどうかに関する情報が表示されます。
    4. 選択したアドオンの [バージョン] ドロップダウン メニューから、アドオンのバージョンを選択します。
    5. [選択] をクリックします。
  8. (オプション) イメージにコンポーネントを追加します。
    1. [詳細を表示] をクリックします。
    2. [コンポーネントの追加] をクリックします。
      [コンポーネントの追加] ダイアログ ボックスが表示されます。
    3. (オプション) [表示] ドロップダウン メニューを使用して、選択したベンダー アドオンに含まれていないコンポーネントを特定します。
    4. リストから 1 つまたは複数のコンポーネントを選択します。
      右側に情報パネルが表示されます。情報パネルには、最初に選択したコンポーネントに関する情報が表示されます。
    5. 選択したコンポーネントの [バージョン] ドロップダウン メニューから、コンポーネントのバージョンを選択します。
    6. [選択] をクリックします。
      選択したコンポーネントが、イメージに含まれるコンポーネントのリストに表示されます。 [表示] ドロップダウン メニューを使用して、他のコンポーネントを特定できます。
    7. (オプション) [詳細を非表示] をクリックして、コンポーネントのリストを非表示にします。
  9. (オプション) イメージを検証するには、[検証] ボタンをクリックします。
    イメージを検証して、欠落している依存関係やコンポーネントの競合を確認します。
  10. [保存] をクリックします。
    イメージを保存すると、自動コンプライアンス チェックがトリガーされます。クラスタ内のすべてのホストまたはスタンドアローン ホストがイメージを基準としてチェックされます。
  11. [イメージへの変換] ペインでイメージのセットアップを終了します。
    1. [イメージのセットアップの完了] ボタンをクリックします。
    2. [イメージのセットアップの完了] ダイアログ ボックスで [はい、イメージのセットアップを完了します] をクリックします。

結果

クラスタまたはホストのイメージがセットアップされました。クラスタまたはホストの単一イメージを使用して、クラスタ内のすべてのホストをまとめて管理するか、スタンドアローン ホストを管理できるようになりました。修正時に、クラスタ内のすべてのホストまたはスタンドアローン ホストにイメージがインストールされます。

次のタスク

クラスタ内のすべてのホストまたはスタンドアローン ホストにイメージを適用するには、イメージを基準としてクラスタまたはホストを修正します。

オプション 2:既存のイメージのインポート

ベースラインをすでに使用している既存のクラスタまたはホストを単一の vSphere Lifecycle Manager イメージで管理するには、新しいイメージを手動で設定する代わりに、別のクラスタまたはホストからイメージをインポートできます。

クラスタにイメージを使用するように切り替えると、ベースラインを使用するように戻すことはできません。ベースラインが使用される別のクラスタにホストを移動することはできますが、単一のイメージがすでに使用されているクラスタを変更することはできません。

スタンドアローン ホストにイメージを使用するように切り替えると、ベースラインを使用するように戻すことはできません。

vSphere Lifecycle Manager イメージの概念については、vSphere Lifecycle Manager イメージ を参照してください。

vSphere Lifecycle Manager イメージを使用してホストおよびクラスタを管理する方法については、vSphere Lifecycle Manager イメージの使用方法を参照してください。

前提条件

  • クラスタ内のすべての ESXi ホストまたはスタンドアローン ホストがバージョン 7.0 以降であることを確認します。
  • クラスタ内のすべての ESXi ホストまたはスタンドアローン ホストがステートフルであることを確認します。ステートフル インストールの場合、ホストはディスクから起動します。
  • クラスタ内のすべての ESXi ホストが同一ハードウェア ベンダーのものであることを確認します。
  • 統合されていないソリューションがクラスタまたはホストに対して有効になっていないことを確認します。
  • 適切な権限があることを確認します。イメージを使用するための vSphere Lifecycle Manager の権限を参照してください。

手順

  1. vSphere Client で、ベースラインおよびベースライン グループを使用して管理するクラスタまたはホストに移動します。
  2. [更新] タブで、[イメージ] をクリックします。
  3. [イメージのインポート] ボタンをクリックします。
    [イメージのインポート] ダイアログ ボックスが表示されます。
  4. インポートする JSON ファイルを選択し、[次へ] をクリックします。
    • [参照] ボタンをクリックし、ローカル マシンで JSON ファイルを選択します。
    • リモート Web サーバの JSON ファイルに対する有効な URL を入力します。
    vSphere Lifecycle Manager は、クラスタまたはホストがイメージを使用する資格があるかどうかを確認します。問題が報告されない場合は、 [イメージへの変換] ペインが表示されます。インポートしたイメージの要素は、 [イメージの定義] 定義に表示されます。
  5. (オプション) いずれかの要素を変更して、インポートしたイメージをカスタマイズします。
  6. (オプション) イメージを検証するには、[検証] ボタンをクリックします。
    イメージを検証して、欠落している依存関係やコンポーネントの競合を確認します。
  7. [保存] をクリックします。
    イメージを保存すると、自動コンプライアンス チェックがトリガーされます。クラスタ内のすべてのホストまたはスタンドアローン ホストがイメージを基準としてチェックされます。
  8. [イメージへの変換] ペインでイメージのセットアップを終了します。
    1. [イメージのセットアップの完了] ボタンをクリックします。
    2. [イメージのセットアップの完了] ダイアログ ボックスで [はい、イメージのセットアップを完了します] をクリックします。

結果

クラスタまたはホストの単一イメージを使用して、クラスタ内のすべてのホストをまとめて管理するか、スタンドアローン ホストを管理できるようになりました。修正時に、クラスタ内のすべてのホストまたはスタンドアローン ホストにイメージがインストールされます。

次のタスク

クラスタ内のすべてのホストまたはスタンドアローン ホストにイメージを適用するには、イメージを基準としてクラスタまたはホストを修正します。