ESXi ホストを起動またはストレージ アダプタを再スキャンすると、ホストは利用可能なストレージ デバイスへのすべての物理パスを検出します。要求ルールのセットに基づき、どのマルチパス モジュール(NMP、HPP、または MPP)が特定のデバイスへのパスを所有するかをホストが決定します。

デバイスを所有するモジュールが、デバイスのマルチパスのサポートを管理します。デフォルトでは、ホストは 5 分おきに周期的なパス評価を行い、要求を受けていないパスを適切なモジュールに割り当てます。

NMP モジュールにより管理されているパスについては、別の要求ルール セットが使用されます。これらのルールは、SATP および PSP のモジュールを各ストレージ デバイスに割り当て、適用するストレージ アレイ タイプ ポリシーおよびパス選択ポリシーを決定します。

vSphere Client を使用して、特定のストレージ デバイスに割り当てられている、ストレージ アレイ タイプ ポリシーとパス選択ポリシーを表示します。また、このストレージ デバイスに対して使用可能なすべてのパスのステータスを確認することもできます。デフォルトのパス選択ポリシーは、必要に応じてクライアントで変更できます。

デフォルトのマルチパス モジュールまたは SATP を変更するには、vSphere CLI を使用して要求ルールを変更します。

要求ルールの変更については、要求ルールを使用した ESXi マルチパス モジュールの制御を参照してください。

マルチパス モジュールの詳細については、マルチパスの概念と略語を参照してください。

ストレージ デバイス パスの表示

ホストが特定のストレージ デバイスで使用するマルチパス ポリシー、当該ストレージ デバイスで利用可能なすべてのパスの状態を表示します。

手順

  1. vSphere Client で、ESXi ホストに移動します。
  2. [設定] タブをクリックします。
  3. [ストレージ] で、[ストレージ デバイス] をクリックします。
  4. パスを表示するストレージ デバイスを選択します。
  5. [プロパティ] タブをクリックして、NMP や HPP など、デバイスを所有しているモジュールを確認します。
    [マルチパス ポリシー] に、デバイスに割り当てられた [パス選択ポリシー] および(該当する場合は)[ストレージ アレイ タイプのポリシー] も表示されます。
  6. [パス] タブをクリックして、ストレージ デバイスで使用可能なすべてのパス、および各パスのステータスを確認します。次のパス状態情報が表示されます。
    ステータス 説明
    アクティブ (I/O) 現在データを転送している、機能しているパスまたは複数のパス。
    スタンバイ アクティブでないパス。アクティブなパスが使用できない場合、作動状態になり I/O の転送を開始できます。
    無効 管理者によって無効にされたパス。
    非活動 I/O の処理に使用できなくなったパス。物理的な中規模の障害またはアレイ構成の誤りにより、このステータスになる可能性があります。

    [固定] パス ポリシーを使用している場合、どのパスが優先パスであるかを確認できます。優先パスには、優先の列がアスタリスク (*) でマークされます。

データストア パスの表示

VMFS データストアをバッキングしているストレージ デバイスに接続するパスを確認します。

手順

  1. vSphere Client で、データストアに移動します。
  2. [設定] タブをクリックします。
  3. [接続およびマルチパス] をクリックします。
  4. デバイスのマルチパス詳細を表示するホストを選択します。
  5. マルチパス ポリシーの下で、NMP などのデバイスを所有しているモジュールを確認します。デバイスに割り当てられているパス選択ポリシーおよびストレージ アレイ タイプのポリシーも表示されます。
    たとえば、次のように表示されます。
    パス選択ポリシー 優先パス
    ストレージ アレイ タイプのポリシー VMW_SATP_LOCAL
    所有者のプラグイン NMP
  6. [パス] で、デバイスのパスおよび各パスのステータスを確認します。次のパス状態情報が表示されます。
    ステータス 説明
    アクティブ (I/O) 現在データを転送している、機能しているパスまたは複数のパス。
    スタンバイ アクティブでないパス。アクティブなパスが使用できない場合、作動状態になり I/O の転送を開始できます。
    無効 管理者によって無効にされたパス。
    非活動 I/O の処理に使用できなくなったパス。物理的な中規模の障害またはアレイ構成の誤りにより、このステータスになる可能性があります。

    [固定] パス ポリシーを使用している場合、どのパスが優先パスであるかを確認できます。優先パスには、優先の列がアスタリスク (*) でマークされます。

パス選択ポリシーの変更

一般的に、ESXi ホストが特定のストレージ デバイスに使用しているデフォルトのマルチパス設定を変更する必要はありません。変更を加える場合は、[マルチパス ポリシーの編集] ダイアログ ボックスを使用してパス選択ポリシーを変更できます。このダイアログ ボックスを使用して、SCSI ベースのプロトコル エンドポイントのマルチパスを変更することもできます。

手順

  1. vSphere Client で、ESXi ホストに移動します。
  2. [設定] タブをクリックします。
  3. [ストレージ][ストレージ デバイス] または [プロトコル エンドポイント] をクリックします。
  4. パスを変更するアイテムを選択して、[プロパティ] タブをクリックします。
  5. [マルチパス ポリシー] の [アクション] メニューで [マルチパスの編集] を選択します。
    メニューの [マルチパスの編集] オプションを示すスクリーンショット。
  6. パス ポリシーを選択および設定します。オプションは、使用しているストレージ デバイスのタイプによって異なります。
  7. [OK] をクリックして設定を保存し、ダイアログ ボックスを閉じます。

遅延ラウンド ロビンのデフォルト パラメータの変更

ESXi ホストでは、ラウンド ロビン パス選択ポリシーの遅延メカニズムを有効にできます。このメカニズムでは、I/O の最適なパスを選択するために、I/O のバンド幅とパスの遅延が考慮されます。遅延メカニズムを使用すると、ラウンド ロビン ポリシーは動的に最適なパスを選択して、ロード バランシングの効果を向上させることができます。

遅延が有効になっている場合、I/O のパスの使用率は、ワークロードによって異なります。多数のパスが使用可能であるが、ワークロードが十分に高くない場合、システムは I/O の一部のパスを使用しないことがあります。

遅延メカニズムのデフォルトのパラメータを変更したり、遅延メカニズムを無効にしたりするには、esxcli コマンドを使用します。

前提条件

ラウンド ロビンにパス選択ポリシーを設定します。パス選択ポリシーの変更を参照してください。

手順

  1. 遅延メカニズムを設定するには、次のコマンドを使用します。
     esxcli storage nmp psp roundrobin deviceconfig set --type=latency --device=device ID
    このコマンドには次のパラメータがあります。
    パラメータ 説明
    -S|--num-sampling-cycles=sampling value --typelatency に設定すると、各パスの平均遅延を計算するために使用する I/O の数がこのパラメータによって制御されます。このパラメータのデフォルト値は 16 です。
    -T|--latency-eval-time=time in ms --typelatency に設定すると、パスの遅延が更新される頻度がこのパラメータによって制御されます。デフォルトは 3 分です。
  2. 遅延ラウンド ロビンとそのパラメータが正しく設定されていることを確認します。
     esxcli storage nmp psp roundrobin deviceconfig get --device=device ID
    または
     esxcli storage nmp device list --device=device ID

    次のサンプル出力で、パスの設定を示します。

     Path Selection Policy: VMW_PSP_RR
       Path Selection Policy Device Config: {policy=latency,latencyEvalTime=180000,samplingCycles=16,curSamplingCycle=16,useANO=0; CurrentPath=vmhba1:C0:T0:L0: NumIOsPending=0,latency=0}
    

次のタスク

遅延メカニズムを無効にするには、ホストの [システムの詳細設定] で Misc.EnablePSPLatencyPolicy パラメータを 0 に変更します。

ストレージ パスの無効化

メンテナンスなどの目的で、一時的にパスを無効にできます。

パスを無効にするには、[パス] パネルを使用します。[パス] パネルには、データストア、ストレージ デバイス、アダプタ、または Virtual Volumes プロトコル エンドポイントのビューからアクセスできます。

手順

  1. vSphere Client で、ESXi ホストに移動します。
  2. [設定] タブをクリックします。
  3. [ストレージ] で次のいずれかをクリックします。
    • [ストレージ アダプタ]
    • [ストレージ デバイス]
    • [プロトコル エンドポイント]
  4. 右側のペインでパスを無効にするアイテム(アダプタ、ストレージ デバイス、またはプロトコル エンドポイント)を選択し、[パス] タブをクリックします。
  5. 無効にするパスを選択して、[無効] をクリックします。
    パスのステータスが無効になります。