vSphere は、従来の環境と Software-Defined ストレージ環境で、さまざまなストレージ オプションと機能をサポートします。vSphere ストレージの要素と特長に関する概要を把握することで、仮想データセンターのための適切なストレージ戦略を計画できます。
vSphere 環境における従来のストレージ仮想化モデル
一般的に、ストレージ仮想化とは、物理ストレージ リソースと、仮想マシンとそのアプリケーションのキャパシティの論理的な抽象化を指します。ESXi では、ホストレベルのストレージ仮想化が提供されます。
- ローカル ストレージおよびネットワーク ストレージ
- 従来のストレージ環境では、 ESXi ストレージ管理プロセスは、ストレージ管理者が異なるストレージ システムに対して事前に割り当てたストレージ容量から使用します。 ESXi では、ローカル ストレージとネットワーク ストレージがサポートされます。
- ストレージ エリア ネットワーク
- ストレージ エリア ネットワーク (SAN) は、コンピュータ システム( ESXi ホスト)を高性能なストレージ システムに接続するための専用の高速ネットワークです。 ESXi では、ファイバ チャネルまたは iSCSI プロトコルを使用して、ストレージ システムに接続します。
- ファイバ チャネル
- ファイバ チャネル (FC) は、 ESXi ホスト サーバから共有ストレージにデータ トラフィックを転送するために SAN が使用するストレージ プロトコルです。このプロトコルでは、SCSI コマンドが FC フレームにパッケージ化されます。FC SAN に接続するために、ホストではファイバ チャネル ホスト バス アダプタ (HBA) を使用します。
- インターネット SCSI
- インターネット SCSI (iSCSI) は、コンピュータ システム( ESXi ホスト)と高パフォーマンスなストレージ システムの間でイーサネット接続を使用できる SAN 転送です。ストレージ システムに接続するために、ホストでは標準のネットワーク アダプタ付きのハードウェア iSCSI アダプタまたはソフトウェア iSCSI イニシエータを使用します。
- ストレージ デバイスまたは LUN
- ESXi のコンテキストでは、ストレージ デバイスと LUN という用語は同義です。通常、両方の用語は、ブロック ストレージ システムからホストに提供される、フォーマット可能なストレージ ボリュームを意味します。
- 仮想ディスク
- ESXi ホスト上の仮想マシンは、仮想ディスクを使用してオペレーティング システム、アプリケーション ファイル、およびアクティビティに関連するその他のデータを格納します。仮想ディスクは大きな物理ファイル(一連のファイル)で、他のファイルと同様に、コピー、移動、アーカイブ、およびバックアップを行えます。複数の仮想ディスクを持つ仮想マシンを構成できます。
- VMware vSphere ® VMFS
- ブロック ストレージ デバイスでデプロイするデータストアは、ネイティブ vSphere 仮想マシン ファイル システム (VMFS) フォーマットを使用します。VMFS フォーマットは、仮想マシンの格納に最適化された専用の高性能ファイル システム フォーマットです。
- NFS
- ESXi に組み込まれた NFS クライアントは、TCP/IP 接続で NFS (Network File System) プロトコルを使用して、NAS サーバ上にある NFS ボリュームにアクセスします。 ESXi ホストは、ボリュームをマウントして NFS データストアとして使用できます。
- Raw デバイス マッピング
- 仮想ディスクに加え、vSphere は、Raw デバイス マッピング (RDM) と呼ばれるメカニズムを提供します。RDM は、仮想マシン内のゲスト OS がストレージ デバイスへの直接アクセスを必要とする場合に有効です。RDM の詳細については、 vSphere での Raw デバイス マッピング を参照してください。
vSphere 環境の Software-Defined Storage モデル
Software-Defined Storage では、従来のストレージ モデルのように、基盤となるストレージ容量を vSphere 仮想マシンから抽象化するほかに、ストレージ機能を抽象化します。
Software-Defined Storage モデルでは、仮想マシンがストレージ プロビジョニングの単位となり、柔軟性のあるポリシー ベースのメカニズムを通じて仮想マシンを管理することができます。このモデルには、次の vSphere テクノロジーが使用されています。
- VMware vSphere ® Virtual Volumes™ (vVol)
- Virtual Volumes 機能により、データストア内部の容量の管理から、ストレージ アレイで処理される抽象的なストレージ オブジェクトの管理へとストレージ管理のパラダイムが変わります。 Virtual Volumes でのストレージ管理の単位は、データストアではなく個々の仮想マシンになります。また仮想ディスクのコンテンツ、レイアウト、管理は、すべてストレージのハードウェアによって制御されます。
- VMware vSAN
- vSAN はハイパーバイザーの一部としてネイティブに実行するソフトウェアの分散レイヤーです。 vSAN は ESXi ホスト クラスタのローカル ディスクまたは直接接続されたキャパシティ デバイスを統合し、 vSAN クラスタのすべてのホストで共有される単一のストレージ プールを作成します。
- ストレージ ポリシー ベースの管理
- ストレージ ポリシー ベースの管理 (SPBM) は、 vSAN や Virtual Volumes など、さまざまなデータ サービスおよびストレージ ソリューションに対して単一の制御パネルを実現するフレームワークです。このフレームワークでは、仮想マシンに対するアプリケーションの要求とストレージ エンティティの機能とがストレージ ポリシーを通じて調整されます。
- I/O フィルタ
- I/O フィルタは、 ESXi ホストにインストールできるソフトウェア コンポーネントで、仮想マシンに追加のデータ サービスを提供できます。実装によっては、このサービスに複製、暗号化、キャッシュなどが含まれる場合もあります。
vSphere Storage API
Storage API は、いくつかの vSphere 機能およびソリューションを拡張するコンポーネントを開発するためにサードパーティのハードウェア、ソフトウェアおよびストレージ プロバイダによって使用される API のファミリです。
このストレージに関するドキュメントでは、ご使用のストレージ環境に役立ついくつかの Storage API について説明します。このファミリの他の API(vSphere APIs - Data Protection など)の詳細については、VMware Web サイトを参照してください。
vSphere APIs for Storage Awareness
サードパーティ ベンダーまたは VMware から提供される VASA とも呼ばれるこれらの API を使用すると、vCenter Server と基盤となるストレージ間の通信が可能になります。ストレージ エンティティは、VASA を使用して、設定、機能、ストレージの健全性、イベントに関する情報を vCenter Server に通知することができます。また VASA は、vCenter Server の仮想マシン ストレージ要件をストレージ エンティティに提供することができ、これによりストレージ レイヤーが確実に要件を満たすことができるようになります。
Virtual Volumes、vSAN、vSphere APIs for I/O Filtering (VAIO) およびストレージ仮想マシン ポリシーを使用するときは、VASA が必ず必要になります。vSphere でのストレージ プロバイダの使用を参照してください。
vSphere APIs for Array Integration
VAAI とも呼ばれるこれらの API には、次のコンポーネントが含まれています。
- ハードウェア アクセラレーション API。vSphere にアレイを統合して、特定のストレージ操作をアレイに対してオフロードできるようにします。この統合は、ホストでの CPU オーバーヘッドを大幅に軽減します。vSphere のストレージ ハードウェア アクセラレーションを参照してください。
- アレイ シン プロビジョニング API。シン プロビジョニング ストレージ アレイの容量の使用状況を監視して、容量不足を防止し、容量を再利用を支援します。ESXi とアレイ シン プロビジョニングを参照してください。
マルチパス用の vSphere API
プラグイン可能なストレージ アーキテクチャ (PSA) と呼ばれるこれらの API を使用すると、ストレージ パートナーは、アレイごとに最適化されたマルチパスおよびロードバランシング プラグインを作成して提供できます。プラグインはストレージ アレイと通信し、最適なパスの選択方法を決定して、ESXi ホストからストレージ アレイへの I/O のパフォーマンスと信頼性を向上させます。詳細については、ESXi でのプラグ可能ストレージ アーキテクチャとパス管理の使用を参照してください。