修正とは、vSphere Lifecycle ManagerESXi ホストにパッチ、拡張機能、およびアップグレードを適用するプロセスです。修正により、選択した vSphere オブジェクトが添付されたベースラインおよびベースライン グループに準拠するようになります。

一般的な考慮事項

  • vSphere Lifecycle Manager は、パッチ、拡張機能、およびアップグレード ベースラインを基準にした ESXi ホストの修正をサポートしています。
  • 修正は手動で開始するか、定期的に実行するようにスケジュール設定することができます。
  • コンテナ オブジェクト内の単一の ESXi ホストまたは複数のホストを修正できます。フォルダ、クラスタ、データセンター、さらには vCenter Server レベルでも修正を開始できます。
    注: 単一の vSphere Lifecycle Manager イメージを使用するクラスタがオブジェクトに含まれている場合、ベースラインを基準にこのオブジェクトの修正を開始しても、それらのクラスタへの修正は実行されません。
  • デフォルトでは、修正プロセスは順次実行されます。つまり、vSphere Lifecycle Manager は、クラスタまたは別のコンテナ オブジェクト内のホストを 1 つずつ修正します。ただし、複数のホストを並行修正するように vSphere Lifecycle Manager を構成することもできます。
  • vCenter Server インスタンスが共通の vCenter Single Sign-On ドメインによって他の vCenter Server システムに接続されている場合は、使用している vSphere Lifecycle Manager インスタンスが実行されている vCenter Server システムによって管理されるインベントリ オブジェクトのみを修正できます。
  • ベースラインまたはベースライン グループを基準に vSphere オブジェクトを修正するには、パッチ、拡張機能、およびアップグレードを適用する修正 権限が必要です。ユーザー、グループ、ロール、および権限の管理の詳細については、『vSphere のセキュリティ』 を参照してください。

    すべての vSphere Lifecycle Manager の権限とその説明のリストについては、ベースラインを使用するための vSphere Lifecycle Manager の権限を参照してください。

  • クラスタの修正中に vCenter HA フェイルオーバーが開始されると、修正タスクはキャンセルされます。フェイルオーバーが完了したら、新しいノードで修正タスクを再起動する必要があります。

ESXi ホストの組織的なアップグレード

ベースライン グループを使用して、環境内の ESXi ホストの組織的なアップグレードを実行できます。ベースライン グループには、単一のホスト アップグレード ベースラインと複数のパッチまたは拡張機能ベースライン、あるいは複数のパッチ ベースラインと拡張機能ベースラインが含まれる場合があります。vSphere Lifecycle Manager は、最初にホストをアップグレードして、次にパッチ ベースラインまたは拡張機能ベースラインを適用します。最初にアップグレードが実行されてから、ホストの特定のバージョンにパッチが適用可能になるため、組織的なワークフローではアップグレード中にパッチが失われることがありません。

組織的なアップグレードは、ホスト、クラスタ、フォルダ、またはデータセンター レベルで実行できます。

ベースライン グループを作成せずに、複数のベースラインを選択して使用することもできます。この場合、最初に複数のベースラインをベースライン グループにグループ化する必要はありません。

メンテナンス モード

アップデートで必要な場合、vSphere Lifecycle Manager は修正中にホストをメンテナンス モードに切り替えます。ホストがメンテナンス モードのときには、仮想マシンは実行できません。一貫したユーザー体験を確保するために、vCenter Server は、ホストがメンテナンス モードに切り替えられる前に、クラスタ内の他のホストに仮想マシンを移行します。vCenter Server は、クラスタが vMotion 用に構成されていて、VMware Distributed Resource Scheduler (DRS) および VMware Enhanced vMotion Compatibility (EVC) が有効になっている場合に、仮想マシンを移行できます。ただし、EVC は vMotion で必須ではありません。EVC を有効にすると、ホストの CPU の互換性が保障されます。コンテナ オブジェクトまたはクラスタにない個々のホストでは、vMotion での移行は実行できません。修正後、ホストはメンテナンス モードを終了します。修正中に障害が発生した場合、ホストはメンテナンス モードを終了できないことがあります。

並行修正

vSphere Lifecycle Manager では、ベースラインを使用するクラスタ内のホストを並行修正できます。並行修正を行うと、環境内のホストのパッチ適用やアップグレードに要する時間を短縮できます。並行修正を行えるのは、すでにメンテナンス モードになっている ESXi ホストのみです。並行修正中、ホストはメンテナンス モードに自動的に切り替わりません。同様に、修正が完了しても、ホストはメンテナンス モードを自動的に終了しません。ホストを並行修正するには、メンテナンス モードへの切り替えとメンテナンス モードの終了を手動で行う必要があります。並行修正を有効にした場合、vSphere Lifecycle Manager は、メンテナンス モードではない ESXi ホストを修正しません。

ホストを並行修正するように vSphere Lifecycle Manager を構成した場合は、1 つの修正タスクで修正されるホストの最大数を設定できます。vSphere Lifecycle Manager でメンテナンス モードのすべてのホストを並行修正することもできます。

ホストを並行修正する場合、1 台のホストの修正に失敗しても、クラスタ全体の修正タスクが停止することはなく、残りのホストは正常に修正されます。修正完了後に、vSphere Lifecycle Manager は該当するホストのエラーを報告します。

並行修正はデフォルトでは無効になっていますが、修正中に有効にすることができます。また、vSphere Lifecycle Manager の修正の全般設定で有効にすることもできます。

vSAN クラスタのホストを並行修正することはできません。

修正の事前チェック

オブジェクトを修正する前に、オブジェクトに対する修正事前チェックを実行できます。このチェック中に、vSphere Lifecycle Manager は、正常な修正を妨げる可能性のある問題を識別し、問題を解決するためのアクションを実行または提案します。

正常な修正を妨げる可能性のある問題の詳細については、修正の事前チェック レポートを参照してください。

PXE ブートの ESXi ホストの修正

vSphere Lifecycle Manager では、PXE ブートの ESXi ホストを修正できます。vSphere Lifecycle Manager は、PXE ブートの ESXi ホストに再起動が必要なパッチを適用しません。

PXE ブートの ESXi ホストに追加のソフトウェアがインストールされている場合、ホストを再起動するとソフトウェアが失われることがあります。再起動後に追加のソフトウェアを維持するには、追加のソフトウェアを含めてイメージ プロファイルを更新します。

PXE ブートの ESXi ホストにパッチを適用するには、vSphere Lifecycle Manager ホーム ビューの [設定] タブから開くことができる [ホスト修正設定の編集] ダイアログ ボックスの各設定を有効にする必要があります。