vSphere IaaS control plane で仮想マシンのセルフサービスを行えるようにするには、DevOps ユーザーが仮想マシン クラスにアクセスできることが必要です。仮想マシン クラスは、仮想マシンの CPU、メモリ、予約を定義するテンプレートです。開発のニーズを予想し、リソース可用性および制約を考慮することで、仮想マシン クラスにより、仮想マシンのポリシーおよびガバナンスに対する保護を設定できます。

vSphere IaaS control plane には、いくつかのデフォルトの仮想マシン クラスがあります。vSphere 管理者は、これらをそのまま使用することも、カスタム仮想マシン クラスを作成することもできます。DevOps ユーザーがクラスを使用できるようにするには、vSphere 管理者がクラスを名前空間に追加します。名前空間に割り当てられた仮想マシン クラスは、スタンドアローンの仮想マシンと、Tanzu Kubernetes Grid クラスタを構成する仮想マシンで使用できます。

vSphere Client を使用したカスタム仮想マシン クラスの作成

vSphere 管理者は、使用可能なデフォルト クラスを使用できます。また、デフォルト クラスの代わりにカスタム仮想マシン クラスを作成し、名前空間内の仮想マシンのデプロイに使用することもできます。

新しいクラスを作成する場合は、次の点を考慮してください。
  • vCenter Server インスタンスで作成した仮想マシン クラスは、すべての vCenter Server クラスタおよびこれらのクラスタ内のすべての名前空間で使用できます。
  • 仮想マシン クラスは、vCenter Server 内の仮想マシン内のすべての名前空間で使用できます。ただし、DevOps エンジニアは、特定の名前空間に関連付けられた仮想マシン クラスのみを使用できます。
注： DCLI コマンドを使用して仮想マシン クラスを作成することもできます。 Data Center CLI を使用した仮想マシン クラスの作成と管理を参照してください。

前提条件

必要な権限：
  • 名前空間.クラスタ全体の構成の変更
  • 名前空間.名前空間構成の変更
  • 仮想マシン クラス.仮想マシン クラスの管理

手順

  1. [VM サービス] 画面に移動します。
    1. vSphere Client ホーム メニューから、[ワークロード管理] を選択します。
    2. [サービス] タブをクリックし、[VM サービス] ペインで [管理] をクリックします。
  2. [VM サービス] 画面で [VM クラス] をクリックして、[VM クラスの作成] をクリックします。
  3. [名前] 画面で、仮想マシン クラス名を指定し、[次へ] をクリックします。
    仮想マシン クラス名は、仮想マシン クラスを識別します。次の要件を満たす一意の DNS 準拠名を入力します。
    • 環境内のデフォルトまたはカスタム仮想マシン クラスの名前と重複しない、一意の名前を使用します。
    • 63 文字以下の英数字の文字列を使用します。
    • 大文字や空白は使用しないでください。
    • ダッシュは最初または最後の文字以外の場所で使用します。たとえば、vm-class1 のようにします。
    仮想マシン クラスを作成した後に、名前を変更することはできません。
  4. [互換性] 画面で、仮想マシン クラスのハードウェア互換性を選択し、[次へ] をクリックします。
    詳細については、「 仮想マシンの互換性」を参照してください。
    注： 仮想マシン クラスのハードウェア互換性は、その作成中にのみ設定でき、後で変更することはできません。
  5. [構成] 画面で、設定をデフォルトのままにします。
  6. [確認] 画面で詳細を確認して、[完了] をクリックします。

次のタスク

仮想マシンのハードウェアや仮想マシンのオプションなど、仮想マシン クラスの構成を編集します。

vSphere Client を使用した仮想マシン クラスの編集

仮想マシン クラスを作成後に編集する方法を確認します。CPU、メモリ、デバイスなどのハードウェア リソースを構成することや、仮想マシンのオプションおよび詳細パラメータを編集することができます。vSphere IaaS control plane が提供するデフォルトの仮想マシン クラスを編集することもできます。

仮想マシン クラスを編集しても、このクラスから以前にデプロイされた仮想マシンは自動的に再構成されません。たとえば、DevOps ユーザーが仮想マシン クラスを持つ Tanzu Kubernetes Grid クラスタを作成し、その後で仮想マシン クラス定義を変更した場合、既存の Tanzu Kubernetes Grid 仮想マシンは影響を受けません。新しい Tanzu Kubernetes Grid 仮想マシンは、変更されたクラス定義を使用します。
注意： Tanzu Kubernetes Grid クラスタで使用される仮想マシン クラスを編集した後に、このクラスタをスケール アウトした場合、新しいクラスタ ノードは更新されたクラス定義を使用しますが、既存のクラスタ ノードは初期のクラス定義を引き続き使用するため、不一致が生じます。制御プレーン ノードとワーカー ノードを両方とも拡張できます。スケーリングの詳細については、『 vSphere IaaS 制御プレーンでの TKG サービスの使用』の ワークロード クラスタのスケールの説明を参照してください。

仮想マシン クラスを削除すると、関連付けられているすべての名前空間から削除されます。DevOps ユーザーは、この仮想マシン クラスを使用して仮想マシンをセルフサービスできなくなります。この仮想マシン クラスですでに作成されている仮想マシンは、影響を受けません。

前提条件

必要な権限：
  • 名前空間.クラスタ全体の構成の変更
  • 名前空間.名前空間構成の変更
  • 仮想マシン クラス.仮想マシン クラスの管理

手順

  1. vSphere Client に、使用可能な仮想マシン クラスが表示されます。
    1. vSphere Client ホーム メニューから、[ワークロード管理] を選択します。
    2. [サービス] タブをクリックし、[VM サービス] ペインをクリックします。
    3. [VM サービス] 画面で [VM クラス] をクリックします。
      すべてのデフォルトの仮想マシン クラスまたはユーザー作成の仮想マシン クラスは、 [使用可能な VM クラス] の下に表示されます。
  2. 選択した仮想マシン クラスのペインで、[管理] をクリックし、[編集] をクリックします。
  3. [仮想ハードウェア] 画面で、メモリ、CPU、各種デバイスなど、仮想マシン クラスのハードウェア リソースを構成します。
    DevOps ユーザーが仮想マシン クラスを仮想マシンに割り当てると、すべての仮想マシン ハードウェア設定が適用されます。たとえば、CPU 構成値は、仮想マシン クラスを使用して DevOps ユーザーが作成するすべての仮想マシン専用の CPU リソースになります。
    注： vSphere 8.0 Update 2b 以降では、仮想マシン クラスの作成および編集用ウィザードで CPU およびメモリ リソースを設定する単位が、パーセンテージから MB、GB、TB、MHz の数値に変更されます。過去に作成した仮想マシン クラスはすべて、CPU とメモリがパーセンテージで表示されますが、現在は新しい数値形式でそれらの値を編集できます。
    仮想マシン構成オプション 説明
    [CPU] 仮想マシン専用の CPU リソースを定義します。CPU リソースの構成の詳細については、「仮想 CPU の構成と制限」および「仮想マシンの CPU リソースの構成」を参照してください。
    [メモリ] 仮想マシン用に構成されるメモリを MB、GB、または TB 単位で定義します。仮想マシンのメモリ リソースの詳細については、「仮想メモリの構成」を参照してください。
    [ビデオ カード] Windows AERO、CAD、Google Earth、およびその他の 3D 設計、モデリング、マルチメディア アプリケーションを利用するように 3D グラフィックスを構成します。ビデオ カード設定の詳細については、「3D グラフィックを構成する方法」を参照してください。
    [セキュリティ デバイス] Software Guard Extensions® (vSGX) を構成して、仮想マシン クラスのセキュリティを強化します。「Intel Software Guard Extensions による仮想マシンのセキュリティ強化」を参照してください。
  4. [仮想ハードウェア] オプションで、[新規デバイスを追加] をクリックして仮想マシン クラスにデバイスを追加および構成します。
    ストレージ コントローラ、ネットワーク アダプタ、USB、PCI デバイスなど、さまざまなデバイスを仮想マシン クラスに構成します。
    仮想マシン構成オプション 説明
    [RDM ディスク] RAW デバイス マッピング (RDM) を追加して、仮想マシン データを仮想ディスク ファイルに格納するのではなく、SAN LUN に直接保存します。「仮想マシンへの RDM ディスクの追加」を参照してください。
    [ホストの USB デバイス] 物理デバイスが仮想マシンが実行されているホストに接続されている場合は、ESXi ホストから仮想マシンに 1 つ以上の USB パススルー デバイスを追加します。「ESXi ホストから仮想マシンへの USB デバイスの追加」を参照してください。
    [NVDIMM] 仮想マシン クラスに仮想 NVDIMM デバイスを構成すると、不揮発性メモリまたは永続的なコンピュータ メモリを使用できます。「仮想マシンへの NVDIMM デバイスの追加」を参照してください。
    [CD/DVD ドライブ] 仮想マシン クラスに CD/DVD デバイスを構成します。「仮想マシンの CD または DVD ドライブを追加または変更する方法」を参照してください。
    [NVMe コントローラ]、[SATA コントローラ]、[SCSI コントローラ] 仮想マシン クラスにストレージ コントローラを構成します。「SCSI、SATA、NVMe ストレージ コントローラの条件、制限事項、および互換性」を参照してください。
    [USB コントローラ] ESXi ホストまたはクライアント コンピューティングからの USB パススルーをサポートするために、仮想マシン クラスに USB コントローラを追加します。「USB コントローラの仮想マシンへの追加」を参照してください。
    [PCI デバイス] vSphere IaaS control plane 環境内の ESXi ホストに 1 つ以上の NVIDIA GRID GPU グラフィックス デバイスがある場合、NVIDIA GRID 仮想 GPU (vGPU) テクノロジーを使用するように仮想マシンを構成します。パススルー モードで仮想マシンが使用できるように、ESXi ホスト上の他の PCI デバイスを構成することもできます。

    このオプションを選択すると、メモリ リソース予約の値が自動的に 100% に変更されます。

    詳細と追加の要件については、「vSphere IaaS control plane での PCI デバイスを使用した仮想マシンのデプロイ」を参照してください。
    [ウォッチドッグ タイマー] 仮想ウォッチドッグ タイマー (VWDT) デバイスを追加して、仮想マシン内のシステム パフォーマンスに関連する自立性を確保します。「仮想ウォッチドッグ タイマー デバイスの仮想マシンへの追加方法」を参照してください。
    [プレシジョン クロック] 仮想マシンにプレシジョン クロック デバイスを追加します。プレシジョン クロックは、仮想マシンにプライマリ ESXi ホストのシステム時刻へのアクセスを提供する仮想クロック デバイスです。「仮想マシンにプレシジョン クロック デバイスを追加する方法」を参照してください。
    [シリアル ポート] 物理シリアル ポートまたはホスト コンピュータ上のファイルへの仮想シリアル ポートの接続を構成します。「シリアル ポート構成の変更」を参照してください。
    [インスタンス ストレージ] 仮想マシンにインスタンス ストレージを構成します。仮想マシンは、パーシステント ストレージ ボリュームとともにインスタンス ストレージを使用できます。仮想マシンとは別に存在するパーシステント ボリュームとは異なり、インスタンス ストレージ ボリュームは仮想マシン インスタンスのライフサイクルに依存します。

    [インスタンス ストレージ] オプションを使用して、適切なストレージ ポリシーを追加し、仮想マシンで使用するボリュームを構成することができます。

    その他の要件については、vSphere IaaS control plane でのインスタンス ストレージを使用した仮想マシンのデプロイを参照してください。
    [ネットワーク アダプタ] 仮想マシン クラスにネットワーク アダプタを構成します。DevOps ユーザーが仮想マシン クラスを使用して仮想マシンをデプロイするときは、アダプタへのワークロード ネットワークを指定できます。ワークロード ネットワークは、仮想マシンが実行されている vSphere 名前空間 に構成されている必要があります。サポートされているアダプタ タイプの詳細については、「ネットワーク アダプタの基本」を参照してください。
  5. [仮想マシン オプション] 画面では、VMware Tools スクリプトを実行する仮想マシン オプションを設定、変更したり、リモート コンソールへのユーザー アクセスを制御したり、起動動作を構成したりできます。
    仮想マシン クラスに構成できる仮想マシン オプションの詳細については、「 仮想マシン オプションの設定」を参照してください。
  6. [詳細パラメータ] 画面では、VMware の技術サポート担当者による指示があった場合、あるいは VMware のドキュメントでシステムの問題を修正するためにパラメータの追加または変更が指示されている場合に、仮想マシン構成パラメータを変更または追加します。
    仮想マシンの詳細パラメータの詳細については、「 仮想マシンの詳細ファイル パラメータの構成」を参照してください。
  7. 仮想マシン クラスを編集する準備ができたら、変更内容を確認し、[終了] をクリックします。

vSphere Client を使用した仮想マシン クラスと名前空間の関連付け

vSphere 管理者は、デフォルトまたはカスタムの仮想マシン クラスを スーパーバイザー の 1 つ以上の名前空間に追加します。名前空間に仮想マシン クラスを追加する場合は、Kubernetes 名前空間環境で仮想マシンのセルフサービスを開始できるように DevOps ユーザーがこのクラスを使用できるようにします。名前空間に割り当てる仮想マシン クラスは、Tanzu Kubernetes Grid クラスタを構成する仮想マシンでも使用されます。

1 つの名前空間に複数の仮想マシン クラスを追加できます。さまざまな仮想マシン クラスが、さまざまなレベルのサービスの指標として機能します。複数の仮想マシン クラスを公開している場合、DevOps ユーザーは名前空間で仮想マシンを作成および管理する際に、すべてのカスタム クラスとデフォルト クラスの中から選択できます。

注：

新しく作成した名前空間に Tanzu Kubernetes Grid クラスタをデプロイできるようにするには、DevOps エンジニアに仮想マシン クラスへのアクセス権が必要になります。vSphere 管理者は、デフォルトまたはカスタムの仮想マシン クラスを、Tanzu Kubernetes Grid クラスタがデプロイされている新しい名前空間に明示的に関連付ける必要があります。

前提条件

必要な権限：
  • 名前空間.クラスタ全体の構成の変更
  • 名前空間.名前空間構成の変更
  • 仮想マシン クラス.仮想マシン クラスの管理

手順

  1. vSphere Client で、名前空間に移動します。
    1. vSphere Client ホーム メニューから、[ワークロード管理] を選択します。
    2. [名前空間] タブをクリックして、名前空間をクリックします。
  2. 仮想マシン クラスを追加します。
    1. [VM サービス] ペインで [VM クラスの追加] をクリックします。
    2. 1 つ以上の仮想マシン クラスを選択して、[OK] をクリックします。

結果

追加した仮想マシン クラスは、DevOps が仮想マシンをセルフサービスする際に、名前空間で使用できるようになります。これらのクラスは、Tanzu Kubernetes Grid クラスタを構成する仮想マシンで使用することもできます。

vSphere Client を使用した名前空間での仮想マシン クラスの管理

仮想マシン クラスを名前空間に関連付けた後に、仮想マシン クラスを追加するか、クラスを削除して Kubernetes 名前空間から公開解除することができます。

前提条件

  • 名前空間から仮想マシン クラスを削除する場合は、仮想マシン クラスが Tanzu Kubernetes Grid で使用されていないことを確認します。仮想マシンを削除すると、Tanzu Kubernetes Grid の操作が影響を受けることがあります。
  • 必要な権限：
    • 名前空間.クラスタ全体の構成の変更
    • 名前空間.名前空間構成の変更
    • 仮想マシン クラス.仮想マシン クラスの管理

手順

  1. vSphere Client で、名前空間に移動します。
    1. vSphere Client ホーム メニューから、[ワークロード管理] を選択します。
    2. [名前空間] タブをクリックして、名前空間をクリックします。
  2. 仮想マシン クラスを追加または削除します。
    1. [VM サービス] ペインで [VM クラスの管理] をクリックします。
    2. 次のいずれかの操作を実行します。
      オプション 説明
      仮想マシン クラスの削除 仮想マシン クラスを選択解除し、[OK] をクリックします。
      仮想マシン クラスの追加 1 つ以上の仮想マシン クラスを選択して、[OK] をクリックします。