VMware vSphere で WSFC を設定するとき、このチェックリストを参考に、要件に従って環境を構成してください。また、テクニカル サポートが必要な場合に、これらのチェックリストを使用して、設定が要件を満たしていることを確認することもできます。

クラスタリングされたディスクの要件

クラスタリングされたディスクは、シングルホスト クラスタであるか、マルチホスト クラスタであるかによって要件が異なります。

表 1. クラスタリングされたディスクの要件
コンポーネント シングルホスト クラスタリング マルチホスト クラスタリング
クラスタ VMDK 仮想に設定された SCSI バスの共有モードはサポートされていません。 物理に設定された SCSI バス共有または NVMe バス共有モードがサポートされます。NVMe は、Windows Server 2022 以降の vSphere 8.0 U2 以降でのみサポートされます。
VMDK(仮想互換モード) 仮想に設定された SCSI バスの共有モードをサポート。(非推奨) 物理に設定された SCSI バスの共有モードはサポートされていません。
vRDM

デバイス タイプを仮想互換モードに設定。

SCSI バスの共有モードを仮想モードに設定。

クラスタリングされたディスクごとに 1 つの共有 RDM マッピング ファイルが必要。

サポート対象外。
pRDM サポート対象外。

ハード ディスクの作成時に RDM デバイス タイプを物理互換モードに設定。

pRDM をホストする vSCSI コントローラの SCSI バス共有モードを物理に設定。

クラスタリングされたディスクごとに 1 つの共有 RDM マッピング ファイルが必要。

vVol ストレージ サポートされません。 vSCSI/NVMe コントローラのバス共有モードを物理に設定する必要があります。
すべてのタイプ クラスタ化されたすべてのノードは、同じクラスタディスクに対して同じターゲット SCSI ID(仮想 SCSI アダプタ上)または同じターゲット NVMe ID(仮想 NVMe アダプタ上)を使用する必要があります。クラスタ化されたディスクには、個別の仮想 SCSI/NVMe アダプタを使用する必要があります。クラスタ化されたディスク用の複数の仮想 SCSI/NVMe アダプタ(サポートされる最大数まで)を使用して、パフォーマンスを向上させることができます。このセットアップでは、1 つ以上のコントローラを非共有ディスク専用にすることが必要。

その他の要件と推奨事項

次の表に、オプションや設定について要件がある環境内のコンポーネントを示します。

表 2. クラスタリングのその他の要件と推奨事項
コンポーネント 要件
ディスク

VMDK(クラスタ VMDK または仮想互換モードの VMDK)のディスク プロビジョニング中に、シック プロビジョニング (Eager Zeroed) を選択します。vVols の場合は、シックまたはシンのいずれかを選択します。

WSFC 仮想マシンの .vmx ファイルを変更して、次の行を追加します。
  • scsiX.returnNoConnectDuringAPD = "TRUE"
  • scsiX.returnBusyOnNoConnectStatus = "FALSE"
  • nvmeX.returnNoConnectDuringAPD = "TRUE" (起動デバイスに NVMe コントローラを使用する場合)
  • nvmeX.returnBusyOnNoConnectStatus = "FALSE"(起動デバイスに NVMe コントローラを使用する場合)
  • ここで、X は、起動デバイスの SCSI バス コントローラの ID 番号です。デフォルトでは、X は 0 に設定されます。

Thick Provision オプションを指定しないで作成するディスクは RDM ファイル (物理互換モードと仮想互換モードの両方) のみ。

ディスク I/O のタイムアウトは 60 秒以上 (HKEY_LOCAL_MACHINE\System\CurrentControlSet\Services\Disk\TimeOutValue)。

Windows

使用可能

  • Windows Server 2012
  • Windows Server 2012 R2
  • Windows Server 2016
  • Windows Server 2019 (vSphere 6.7 Update 3)
  • Windows Server 2022(vSphere 7.0 以降)

Windows Server 2012 以降の場合は、最大 5 クラスタ ノードまで使用できます。

注: クラスタを再作成すると、この値がデフォルト値にリセットされる場合があるので、そのときはもう一度変更する必要があります。

障害が発生した場合、クラスタ サービスを自動的に再起動 (1 回目、2 回目、それ以降)。

注: Windows Server 2008 と 2008 R2 の延長サポートは終了しました(通常のセキュリティ アップデートはありません)。VMware vSphere で WSFC をホストする場合は、ベンダー サポート機能を検討してください。
ESXi

メモリをオーバーコミットしない。[メモリ予約] (最小メモリ) オプションを仮想マシンに割り当てられたメモリ量と同じ値に設定。

ESXi は、WSFC クラスタのデバイスで RAW デバイス マッピング (RDM) LUN が使用されているかどうかを判別するために別の技術を使用します。そのために、WSFC クラスタに参加している各デバイスを「永久予約」としてマークする構成フラグが導入されています。RDM LUN を使用するパッシブ WSFC ノードをホストする ESXi ホストの場合は、次の esxcli コマンドを使用してデバイスを永久予約としてマークします: esxcli storage core device setconfig -d <naa.id> --perennially-reserved=true。詳細は、KB 1016106 を参照してください。

マルチパス vSphere 内の VMware 以外のマルチパス ソフトウェアに関する情報とサポートについては、マルチパス ソフトウェア ベンダーに確認。

テクニカル サポートに必要な情報

次の表に、テクニカル サポートが必要な場合に収集するファイルと設定を示します。テクニカル サポートは、これらのファイルと設定を使用して、WSFC のセットアップに関する問題を分析します。

注: テクニカル サポートに問い合わせる前に、構成が クラスタリングされたディスクの要件クラスタリングのその他の要件と推奨事項 のチェックリストに従っていることを確認してください。
表 3. テクニカル サポートに必要な情報
ファイルまたは情報 説明または場所
vm-support tarball vmkernel のログ、仮想マシンの構成ファイルおよびログなど。
問題があるすべての仮想マシンのアプリケーションとシステムのイベント ログ
問題があるすべての仮想マシンのクラスタ ログ %ClusterLog%。これは通常、%SystemRoot%\cluster\cluster.log に設定されています。あるいは、Get-ClusterLog Powershell CMdlet を使用します。
ディスク I/O のタイムアウト HKEY_LOCAL_MACHINE\System\CurrentControlSet\Services\Disk\TimeOutValue
問題がある仮想マシンの vSphere Client 表示名と Windows NETBIOS 名
問題の発生日時
ESXi システムの SAN 構成 LUN、パス、アダプタに関する詳細。
仮想マシンのメモリ ダンプ (任意) ゲスト仮想マシンで障害が発生した場合に必要 (ブルー スクリーンにエラー メッセージが表示される)。